日本の高等教育機関、留学生と多様性推進に向けた改革の必要性

 

2024年8月8日に、『急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(中間まとめ)』が、文科省の中央教育審議会大学分科会高等教育の在り方に関する特別部会から公表されました。

 

日本の高等教育機関は、少子化による18歳人口の減少やグローバル化の進展に伴い、留学生の受け入れ強化と教育現場における多様性の推進が喫緊の課題となっています。文部科学省の中間報告では、日本の大学が今後持続的に成長し、国際競争力を強化するためには、国籍や年齢、障害の有無を問わず、多様なバックグラウンドを持つ学生を受け入れ、多文化共生の環境を整備する必要があると指摘されています。

 

まず、日本国内の高等教育機関における外国人留学生の割合は、OECD加盟国と比較して依然として低水準にあります。特に学士課程では約3%、修士課程で約11%、博士課程では約22%と、世界平均に達していません。さらに、留学生の出身国もアジア諸国に偏る傾向が強く、欧米諸国や新興国からの留学生の比率を増やすことが求められています。これに対して、国内の多くの大学では、留学生の受け入れ体制や支援システムが整備途上にあり、言語の壁や生活支援、キャリアサポートにおいて課題が残されています。

 

一方、日本人学生の海外留学も振るわない現状が続いています。グローバル人材の育成が叫ばれる中、日本人学生が海外で学び、国際的な視野を広げる機会を増やすことも重要な課題です。経済的支援や語学力強化が不可欠であり、政府や大学が一体となって支援策を強化する必要があります。

 

さらに、留学生受け入れの拡大は、単なる学生数の増加にとどまらず、大学における多文化共生の実現に向けた大きな一歩となります。日本人学生と外国人留学生が同じ教室で学び、互いの文化や価値観を共有し合うことが、真の多様性を実現するための鍵とされています。そのため、文部科学省は、留学生と日本人学生が共同で学び、多文化共修の機会を提供する教育プログラムの導入を推進しています。また、大学間連携を強化し、海外の教育機関との共同研究や交換留学プログラムの拡充を進めることも取り組まれています。

加えて、多様性の推進は、留学生の受け入れに限らず、社会人や障害を持つ学生への支援体制の強化にも広がっています。年齢や国籍、障害の有無を問わず、すべての学生が平等に教育を受けられる環境を整備することが大学の使命とされています。文部科学省は、高等教育機関がその体制を見直し、障害学生に対するバリアフリー化の促進や、社会人学生が柔軟に学べる環境の整備を進めています。

 

国際化と多様性の確保は、今後の日本の高等教育の持続可能な発展にとって不可欠です。グローバルな視点を持った人材の育成と、多文化共生社会の実現に向けて、日本の大学はその役割を一層重要視する必要がでてきてます。

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